新型コロナウイルス感染と妊娠情報

2020.5.1
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミック中の妊娠と出産 (ユニセフホームページからの情報)

経験豊かな助産師があなた自身と赤ちゃんを守る方法をお伝えします 最終更新日 2020年4月16日

原文はこちら

Navigating pregnancy during the coronavirus disease (COVID-19) pandemic
https://www.unicef.org/coronavirus/navigating-pregnancy-during-coronavirus-disease-covid-19-pandemic


妊娠出産は興奮と期待いっぱいの人生の特別な時期です。しかし、新型コロナウィルス感染症(以下COVID-19)の流行にあって妊婦さんたちは不安と心配を抱えていることでしょう。妊婦さんと赤ちゃんを守る方法についてInternational Confederation of Midwives代表のFranka Cadéeさんにお聞きしました。


妊婦健診を受診するのは安全でしょうか
妊娠の経過とその地域の流行の状況に応じて、健診の一部が遠隔で行われることもあるでしょう。1回の健診にかける時間は短くなるかもしれません。お住いの地域の状況とあなた自身の経過について一番詳しいのはあなたがおかかりの助産師と医師です。どのような選択肢があるのか確認しましょう。

出産後も赤ちゃんの予防接種を含め継続的に医学的なサポートを受けることが大切です。どのように受診するのがよいのか、助産師か医師に確認しましょう。


わたしがCOVID-19にかかったら、赤ちゃんにうつるのでしょうか
妊娠中に母親から赤ちゃんに感染が起こるのかどうかまだわかっていません。いままでのところ感染した母親の腟分泌物、臍帯血、母乳、羊水、胎盤からCOVID-19ウィルスが検出されたという報告はありません。(要約者より:その後、母子感染を示す症例報告がありましたが赤ちゃんに明らかな症状はなく退院されたそうです。詳細はhttps://pw-hi.jp/covid19/002/をご覧ください)

いまできることはご自身が感染しないようにすることです。妊娠中または産後体調がすぐれない場合はおかかりの医療機関に相談してください。


病院またはクリニックで出産する予定なのですが安全なのでしょうか
ご自身にとって最も安全なのはどこなのか、感染を防ぐためにどんな対策がとられているのか確認してください。この質問に対する答えは医療提供システムによって異なります。ほとんどの医療機関ではCOVID-19の患者の入り口とそれ以外の患者の入り口は分かれていると思いますが、必ずしもすべての医療機関でこのような対応がとれるわけではありません。例えばオランダでは自宅出産が安全な形で医療提供システムの中に組み込まれており、いま自宅出産が増えています。

あなたにとって最も安全な方法についてはあなたの妊娠と出産をサポートしている医療機関で相談しましょう。


出産のときにパートナーや家族に立ち会ってもらえますか
方針は国によって異なりますが、立ち会う方が手洗いやマスク着用等の対策をとれば問題ないと思います。立ち合いを許可しない方針の国もあると聞いていて、それは感染のリスクを軽減するために合理的な判断とも言えますが、妊婦さんが心配です。誰か妊婦さんの信頼できる方が立ち会えるようにするべきです。そして赤ちゃんとお母さんを引き離さないでください。(要約者より:各地域の感染拡大の状況により、施設ごとに方針は異なります)

医療従事者は家族と共に何がもっとも望ましいのか考え、最善をつくしています。皆で協力してお互いの状況を理解することがとても重要であると感じています。


出産することが心配になってしまいました。どうしたらいいでしょうか。
出産についての具体的なイメージを持つことは不安を解消することに有効ですが、この状況では不確定な要素が多いことも事実です。現在どんな制約があるのか確認しておきましょう。

リラックスするためにストレッチや呼吸法もおすすめです。また、必要に応じて助産師とコミュニケーションをとりましょう。よい食事をとり、おなかに手をあてて、妊娠していることを楽しみましょう。


医療従事者にどんなことを聞けばいいでしょうか
前提として医療者と信頼関係を築くことがとても重要です。大切なあなたとあなたの赤ちゃんのことですから、質問することはあなたの大事な権利です。いま医療者には大きな負担がかかっているので、いつもより回答には時間がかかるかもしれません。また、緊急の場合に備え、いままでの経過記録のコピーをとっておくことも有効かもしれません。

例えばこんな質問をしてみてもいいかもしれません。
  • わたしはここでCOVID-19にかかるリスクがありますか。いままでCOVID-19にかかった人はここにいましたか。
  • COVID-19ウィルスがある人とない人をどうやって分けていますか。
  • 医療者のための十分な防護服はあるのですか。
  • 誰か一緒につきそっていいですか。もしだめな場合、なぜだめなのですか。
  • 赤ちゃんと一緒にいられますか。もしだめな場合、なぜだめなのですか。
  • 赤ちゃんに直接授乳できますか。できない場合、なぜできないのですか。
  • 経腟分娩が可能ですか。それとも帝王切開をするのですか。理由も教えてください。
出産のための入院のとき、何か特別に持って行った方がいいものはありますか
特別に追加で持っていくものはないでしょう。経過が順調であれば産後通常より早く退院する可能性がありますが、これも状況によって異なります。


産後に赤ちゃんをCOIVD-19から守るために何ができますか
自宅に帰ってからの友人の訪問はお断りして家族だけで過ごしましょう。赤ちゃんに兄弟がいれば、その子たちも他の子と過ごさないようにすることが大切です。同居の方にもしっかり手を洗ってもらいましょう。大変な時ですが、家族の絆を強められる機会と思って物事のよい面をみるようにしましょう。赤ちゃんと過ごす静かな時間を楽しみましょう。


妊娠中です。COVID-19流行中に安全に過ごすためには何をすべきですか
いまのところ、妊婦さんはこのウィルス感染に関するリスクは一般の方と同じです。
  • COVID-19の症状(発熱、咳等)のある人と接触を避けましょう。
  • 可能なら公共交通機関を避けましょう。
  • 可能なら在宅勤務しましょう。
  • 公共の場で大小問わず集まりは避けましょう。特に密閉空間は避けましょう。
  • 友人や家族と集まることも避けましょう。
  • 電話やオンラインサービスを使って必要な連絡をとりましょう。
その他、せっけんと流水でのこまめな手洗い、よく触るものを頻繁に消毒すること、咳や発熱などの症状がないか注意して、症状がある場合早めに相談しましょう。


母乳育児は安全ですか
母乳育児を継続することは安全です。母乳を介してウィルスがうつることはありません。

もし、COVID-19にかかったかもしれないと思ったら、すぐ医療者に相談してください。体調がよい場合は、マスクがあれば着用し、授乳の前後で手洗いをし、接触面を清潔に保ちましょう。体調がすぐれず直接授乳できない場合は搾乳して清潔なコップやスプーンで赤ちゃんに与えましょう。


他の人と十分な距離を保てない環境で暮らしている場合どうすればいいですか お互いに物理的な距離をとることが難しい環境で暮らしている方が世界にはたくさんいます。ぜひそのような地域では、地域全体で妊婦さんを助けてあげてください。専用のトイレを準備するなど、できるだけ妊婦さんと距離をとるようにしてください。

それから、手洗いの重要性を忘れないでください。COVID-19はせっけんが大嫌いです。簡単ですがとても重要な対策です。どんな状況にあっても、妊婦さんにとって完全安心なシステムを地域の方と医療者が考えてあげてください。妊婦さんたちはわたしたちの未来を産んでいる大切な人たちなのですから。
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