妊婦さんとご家族へ伝えたい大切なこと

8. GBS(B群溶血性連鎖球菌)感染症

■どのような病気ですか?
・GBS(B群溶血性連鎖球菌)は、お母さんの腟、外陰、腸管(肛門部)に約10~30%の頻度で検出される常在菌であり、決してまれな細菌ではありません。
・お母さんにはほとんど症状がなくても、赤ちゃんが感染するとGBS感染症を発症することがあります。
・発症時期から、出生後0~6日の早発型と、7~89日の遅発型に分けられます。早発型は、主に経膣分娩時にお母さんの腟や肛門から赤ちゃんに感染しますが、胎内ですでに感染していることもあります。遅発型は、腟や肛門以外のルート(水平感染)でも感染します。
・GBSが検出されたお母さん(保菌者)では、分娩時に約50~60%の確率で赤ちゃんに感染し、そのうち1~2%がGBS感染症を発症します。特に、赤ちゃんが敗血症や髄膜炎を起こすと、約10%に後遺症が残り、約4%で死亡することもあります。
・お母さんへの適切な予防策により、早発型感染はかなりの確率で予防することができます。

■妊婦健診で行われるのはどのような検査ですか?
・妊娠35週~37週に腟や肛門から採取した検体を用いて培養検査を行います。

■もしも結果に異常があった場合は、どうなりますか?
・お母さんが保菌者の場合には、陣痛が始まってから経腟分娩中あるいは破水の後に、ペニシリン系などの抗菌薬を点滴でお母さんに投与します。ペニシリン系のアレルギーがある場合は、他の抗菌薬を使用します。
・もし検査がなされないまま破水し、18時間以上経過またはお母さんに38.0℃以上の発熱がある時は、GBSのハイリスクと考え、抗菌薬を投与します。
・そのほか、前のお子さんがGBS感染症であった場合も抗菌薬の投与を行います。

■出産後に気をつけることはありますか?
・赤ちゃんのGBS感染症の発症率は、約1万人に1人と少ないため過度な心配はいりませんが、生まれてから数日間は、赤ちゃんに感染がないか注意深く観察を行います。特に、赤ちゃんの発熱や呼吸状態に関心をもって観察することが重要です。また、哺乳力がない、何となく元気がない場合は、早めに担当医に伝えてください。
・母乳育児は、お母さんが保菌者であっても通常通り行うことができます。
・母子ともに元気であれば問題はありませんが、次回、他の施設で出産される場合には、GBS陽性の結果が出たことがある旨を担当医に伝えて下さい。

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